神宮のお神札は「神宮大麻」と呼ばれ、家庭で皇大神宮のご神徳を仰ぎ、拝礼するためのお神札で、お正月を迎える前には日本全国の神社を通してお配りされています。古くから私たちの家庭では、神棚に神宮大麻と氏神様のお神札をお祀りし、神さまに日々の感謝を捧げ、家族の幸せを祈ってきました。
神さまを敬い、感謝を捧げることは親から子へ、子から孫へと受け継がれる「日本人の美しい心」です。神宮大麻と氏神さまのお神札をおまつりすることは、その心を継承することであり、神棚は神さまと家庭とを結ぶ絆なのです。
大麻とは「おおぬさ」とも読み、お祓いに用いる木綿(ゆう)や麻(あさ)を指します。古くは伊勢の御師(おんし)によってお神札として配布されてきましたが、明治天皇の思召(おぼしめし)により、国民が朝夕皇大神宮を敬拝するために神宮から全国各地にお頒ちすることになりました。
神宮大麻は節目ごとに様々な祭典を重ねて、神宮司庁頒布部では大麻を奉製する専門の方々が毎日潔斎の上、白衣に着替えて御正宮を遥拝し、皇室の弥栄をはじめ国家の安泰、各家庭の平安を祈りつつ一体一体心をこめておつくりしています。
日本の家庭では、神棚に神宮大麻と氏神様のお神札をお納めし、神様に感謝するとともに、日々の平穏などを祈ってきました。
しかし、近頃は核家族化や生活様式の変化もあって、残念ながら神棚をまつるご家庭は年々減少しているようです。
神宮大麻と氏神様のお神札をおまつりすることは、「日本人の心」を継承することです。
近年、神社への関心が高まり、多くの方々が参拝に訪れています。年末を迎えるにあたり、是非この機会にお神札をまつることの意義や大切さについて考えてみてはいかがでしょうか。
私たちの祖先は、暮らしの中で神さまをまつり、その恵みに感謝してきました。街や港を見下ろす高台や商店街、農村地帯の一角などに、鎮守の杜があるのを各地で見かけます。それらの多くは地元の氏神さまであり、地域の守り神=鎮守さまとして大切に守られてきました。
そして全国に鎮まる神社の中で、皇室の御祖神(みおやがみ)をおまつりする伊勢の神宮は、我が国の総氏神的なご存在として時代を超えて人びとの崇敬を受けてきました。
神さまを敬う心は、伊勢の神宮をはじめ地域の神社を中心に、親から子へ、子から孫へと、伝え継がれる中で培われてきました。
正式には「神宮」とお呼びし、天照皇大御神(あまてらすすめおおかみ)をまつる皇大神宮(こうたいじんぐう)(内宮 ないくう)と豊受大御神(とようけおおみかみ)をまつる豊受大神宮(とようけだいじんぐう)(外宮 げくう)を中心に125のお社からなります。
太陽のように光うるわしく、八百万(やおよろず)と言われる神々の中でも最も尊い神さまと仰がれる天照大御神をおまつりする内宮は、約2,000年前に伊勢の地にお鎮まりになりました。
天照大御神が御孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)をこの国にお降しになるにあたり、国家の永遠の繁栄を祈って、八咫鏡(やたのかがみ)をはじめとする三種の神器をお授けになりました。以来、八咫鏡は大御神の「この鏡を私と思いおまつりしなさい」とのお言葉に従い、歴代の天皇によって皇居の中で大切におまつりされてきました。
しかし、第10代崇神(すじん)天皇は八咫鏡を宮中でまつるのは畏れ多いと、同じ大和国(今の奈良県)に特別なまつりの場を設けられ、さらに次の垂仁(すいにん)天皇の御代には、皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)が大御神の永遠に鎮まる場所を求めて国々を巡られ、現在の地に鎮座されました。
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